スマッシュを速くしたいなら○○を鍛えるべし!
以前こんな記事を書きました。
これっていうのは実際に僕自身が練習によって実感しているからこそなのですが、
今回はまた違った視点から、
“スマッシュを速くする”
“スイング力を強化する”
という事についてお伝えしていきたいと思います。
スイング力の強化は「筋力」だけではダメ。
実はある動作に対して直接働く筋肉のみを鍛えても「スピード」ってあまり出ないんです。
例えばフォアハンドで打つスマッシュなら、前腕の回内動作、肘の伸展動作、肩関節の内旋動作や内転動作などなどが関わってくるので、それらに必要な回内筋、上腕三頭筋、肩甲下筋、三角筋、大胸筋、、、などなどを筋トレで鍛えていくというのは、至極単純な発想ですし、その単純筋力を上げるというのも大事なことではあるのですが、
実はそれだけだと筋肉単体の「パワー」は上がっても、なかなか「スピード」が伴わないことが多いのです。
なぜなら、ある動作に対してパワーとスピードを出そうとしたとき、“出しっぱなし”でそれを「止める」事が出来ないと、身体は関節の可動域を超えて無理な負荷がかかり故障してしまうことは想像に難くないですよね。
なので、動作のための筋力(主動筋といいます)自体はあったとしても、脳は自動的にその過負荷を恐れてスピードに制限をかけるはずです。
つまり、ブレーキ力がないからアクセルもしっかり踏み込めない、というイメージです。
暴走して事故りたくはないわけです。
スピードを出すためには「止める」力が重要
例えば、「肘を伸ばす」という動作を考えたとき、肘を伸ばすための筋肉は上腕三頭筋です。
だけど上腕三頭筋がフルパワーを発揮し、アクセル全開で全速力で動作して、それを止める力が何もなかったとしたらどうでしょう?
肘が逆パカして大変なことになるでしょう。(逆パカって久々に聞いたな・笑)
だからこそ、そうならないためには、逆の動きをする筋肉、つまり「肘を曲げる」ためにつかう上腕二頭筋という筋肉がブレーキの役割をして、
逆パカしないように、腕の動きを「止める」必要があるのです。
この「止める」筋肉のことを拮抗筋(きっこうきん)と呼びます。
「肘を伸ばす」という動作を考えたときには、主動筋が上腕三頭筋で、拮抗筋が上腕二頭筋ということになりますけど、
つまり、最速で「肘を伸ばす」という動作を身に着けようとした場合、その主動筋となる上腕三頭筋ばかり鍛えていても不十分で、ブレーキとなる拮抗筋の上腕二頭筋がしっかり働いてくれないと、
最大スピードを出すことはできないわけです。
安心できるブレーキがあるからこそ、安心してアクセルを踏み込んでスピードを上げることができる。
そんなイメージです。
そして、そのアクセルとブレーキのタイミング制御を適切に行うために「反復練習」があると。
反復練習によって身体の動きをスムーズにできるのは、身体の中ではこういう電気信号の制御を脳が適正化しているからこそなわけですけれども、
信号の制御以前に、ブレーキとなる筋力そのものが不足している状態だと、やはり適切にアクセルを踏み込んで最大パワーとスピードを出すこともできません。
これが、ベンチプレスを始めとする筋トレのようなゆっくりした動きであるのなら話しは別ですけれども、バドミントンのスイングのように圧倒的に速い速度で行われる運動に対しては、
その動作だけでなく、その動作の逆となる「拮抗筋」の役割が極めて重要になるというのは、言ってみれば当り前の感覚ですよね。
だからこそ、スマッシュを鍛えるためには、その反対の動きとなる「ハイバック」を鍛えると、スマッシュ動作の拮抗筋が鍛えられるのでスイングスピードが上がりますし、当然ながらハイバックのショットも上達します。
なのでこれもまさに“一石二鳥”の視点なのです。
スイング力を鍛えたければ「上腕二頭筋」を鍛えろ
さて、話題が少し筋肉寄りになったので(笑)
もう少しだけ筋肉について言及したいと思いますが、これは僕自身めちゃめちゃ盲点になっていて、社会人になってバドミントンを再開した20代後半になってやっと気づいた、というか学べたことなんですが、
“上腕二頭筋”
ってみんな意識してます?
肘を曲げたときに浮き上がってくる、いわゆる「力こぶ」の筋肉です。
僕は学生時代、スマッシュが遅くて有名(?)だったのですが、どんなに素振りしても、前腕を鍛えるための重りの巻き上げとか、腕立てとか、腹筋背筋をやっても、
全く速くならずに、若干コンプレックスだった時期があります。
その理由は社会人になってようやく理解できたのですが、
まず一つは上記のように「拮抗筋」を鍛えるための動作を殆どやってなかった。
つまり、ハイバックの練習を殆どやってなくて、
「ハイバックに頼るな!」
という、学生部活にありがちなノリを真面目に忠実に守っていたので、そもそもハイバックを鍛えるという発想がなかったのです。
そしてもう一つの大きな原因は、“上腕二頭筋”が鍛えられるようなトレーニングを殆どやってなかったのです。
というのも、バドミントンのスイングに「上腕二頭筋」が関連するような動きがあるかなぁ?という拙い頭であったが故の愚行なのですが、
確かに、なんとなく、バドミントンのスイングって、上腕二頭筋がメインで使われる動きはあまり無いように思われます。
(肘を“伸ばす”力は必要そうだけど、肘を“曲げながら”打つようなスイングってあまり思いつきませんよね。)
だけどこれは2つの点で大きな過ちです。
まずは上記のように「拮抗筋」の重要性から、上腕二頭筋は肘が伸びる動作を「止める」ためのブレーキとなる筋力なので、たとえ主となる動作のための筋肉ではなくても鍛える必要があるということ。
そしてもう一つは、実は「バックハンド」のショットで重要になる“回外動作”を行うメインの筋肉(主動筋)って、上腕二頭筋なんですよ。(以外でしょ?)
前腕には「回外筋」なる、わかりやすい名前の筋肉もあって、もちろんこれも回外運動に使われる主動筋なのですが、
実はその回外筋よりも回外動作にパワーを発揮する筋肉は上腕二頭筋なんです。
試しに、利き腕の肘を少し曲げた状態で、逆の手で上腕二頭筋を触りながら、前腕をぐりぐりと回外運動させてみてください。
上腕二頭筋がもりもりと動いている(収縮している)のが明らかだと思います。
つまり、スマッシュをはじめとしたフォアハンド全般で重要になる「回内動作」をブレーキするための筋力(拮抗筋)は「上腕二頭筋」ということになりますし、もちろん肘が伸びるのを止めるのも「上腕二頭筋」、
さらに言えば、肘を伸ばしながら回外運動をするのがバックハンドのショットですが、
このバックハンドのスイング動作では、上腕二頭筋は回外動作の主動筋を担いつつ、肘を伸ばすのを止めるブレーキも担うという、一人二役の重要な役割をもっているのです!!
重要なのでビックリマーク二つでお届けしましたけれども、
つまり、バドミントンのスイングのほぼ全般において「上腕二頭筋」ってめっちゃ重要なんですよ、っていう話で、
これが意外と見落とされがちになってんじゃないのか、と僕は思うのです。
だって、回外動作でのメインの主動筋が上腕二頭筋っていうことすら、僕はバドミントンの世界で知ったのではなく、独学で筋肉の構造を解剖学の本で学んでいた時ですし、
拮抗筋の重要性を語っているような指導にも未だかつて出会ったことがありませんし、
学生時代の部活でも、上腕二頭筋を鍛えるメニューが皆無だったのは、やはりそういうことなのです。
ちなみに、僕がインストラクターをしていた高校でも、腕立て・腹筋・背筋といった定番や、流行りの体感トレーニング的なことをやるばかりで、上腕二頭筋が鍛えらえるようなメニューは皆無でした。
(だからこそ伸びしろしかなくて、練習のやり方を変えた途端にあっという間に上達していく様子を見れたのは、本当に感動でしたけれども。)
つまり、この記事を読んでいるあなた。
超ラッキーですよ(笑)
特に、バックハンドが苦手な人の多くは、上腕二頭筋を鍛えるとビックリするくらいモリモリ上達します。
そしてその上達が、フォアハンドのブレーキ力向上にも還元されるので、スマッシュやクリアのパワーも上がります。
総じて、、、
“バドミントンが上手くなります”
・・・ということで、また今回も長々とバドミントン論議をお届けしましたけれども、上腕二頭筋の鍛え方は、王道のアームカールや懸垂など、いろいろとあるので、やりやすい軽いものから徐々にやっていくことをおススメします。
(いきなり無理すると怪我の原因ですからね。まずは500mlのペットボトルに水を入れたものを重りに使って行うトレーニングでも十分かと思います。)
それでは今日はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました!