テンションロスをしないガットの張り方
どうも、熱血バドミントンプレイヤー 兼 某高校のバド部コーチのJUNです。
ストリングマシンを購入し、自宅でガット張をする場合、多くの人が悩まされるのが、
“テンションロス”
なんじゃないかと思います。
特に男性の中級プレイヤー以上あるいは女性の上級プレイヤーの方なんかだと、ガットを強く張りたい場合が少なくないんですけど、
思い通りに強く張れずに、規定のポンド数よりもかなり緩く張り上がってしまい、こっちのテンションも下がってしまう(←うまくない・笑)、
な〜んてこともあるんじゃないかと。。
で、そのテンションロスを考慮して、希望の張り上がりポンドよりも何ポンドか強く設定して張る、っていうのは常套手段だと思いますが、
マシンによっては、最大ポンド数が32とか34とかだったりして、
「最大の強さで張ったのに、ショップの25ポンドくらいにしか張り上がらない!!しかもすぐ緩くなるし。。。」
っていうことも普通にありえます。
これを「電動マシンじゃないからだ」ってことで諦めてる方はホームストリング初心者にはありがちだと思いますが、、
実は簡単で、しかも格段にテンションロスを押さえる方法があるので紹介します。
ガット張りのテンションロスを抑える「プレストレッチ」とは?
テンションロスを格段に抑える簡単な方法、それは、
「プレストレッチ」
です。
これは、ショップなんかの電動マシンだと設定によって自動で行ってくれる作業なんですけど、
“いったん既定の強さよりも強く引っ張って、その後既定の強さで引っ張る”
という方法です。
どういう事かというと、ガットというのはゴムと一緒で、張力を加え続けていれば徐々に“伸びて”緩くなってしまいます。
これが、テンションロスの大きな原因で、
例えば、あるガットを25ポンドの強さで引っ張って止めたとします。
すると、その時は25ポンドという強さの張力がかかっているんですけど、時間が経過するほどガットはどんどん“伸びる”ので、
徐々に張力が23ポンド、22ポンド、、、というふうに緩くなってくるんですよね。
この“伸び”っていうのがホントに速くて、張り上げている何十分という時間だけでもどんどん進行していきます。
これがテンションロスの大きな原因の一つで、特にスプリング式のマシンでは顕著になります。
(張る手順によっては電動マシンでも顕著に発生します。)
そのガットの“伸び”というのを、「プレストレッチ」によってかなり抑えることができて、
個人的な計測結果になりますが、その作業をやるかやらないかだけで、張り上がりのポンド数は3〜4ポンドくらい普通に変わります。
僕の自宅のマシンは最大ポンドが目盛で36、実用範囲だと32くらいですが、29ポンド設定で張り上げれば、専門店張上げの27ポンドで張り上がることを確認済みで、
プレストレッチ無しだと専門店張り上がりのの24ポンドくらいにしかなりません。
その差なんと3ポンド!!
ちなみに、テンションの測定は、スマホアプリの「RacquetTune」を使ってます。
(正確な絶対値を測れるわけではないですが、同じフレーム・ガットならある程度の比較測定が可能。有料で設定も面倒ですが。。)
プレストレッチを行う場合の張り方手順
スプリング式のマシンでガットを張る時には基本的に、
1、ガットを通して
2、規定ポンドで引っ張って
3、ガットをクランプで挟んで
4、次の穴へ通す
(もしくは、最初に全部の穴にガットを通して一気に張り上げる)
みたいなのが、ざっくりとした標準的なやり方なんじゃないかと思いますが、これだと2の時点からガットの伸びが進行して、張り上がる頃には規定ポンドよりかなり緩んでます。
その伸びの進行を抑えるためにプレストレッチをしたいわけなんですが、
なるべく作業時間を増やさずに行う方法として僕がやっている作業手順は、
1、ガットを通して
2、規定より強いポンドで引っ張った状態を維持して
3、その間に次の穴にガットを通して
4、その後規定のポンドで引っ張りなおしてクランプ
(横糸の場合は、ガットの歪み補正も忘れずに)
という流れです。
上記の2は、わざわざダイヤルをいじって調整するわけではなくて、規定のポンドに設定した状態で、ガットを適度な強さで手で引っぱりながら(ここは感覚・笑)
「ガコン」と止まるまでハンドルを回します。
すると、規定の張力(ポンド)に手で引っ張る張力が加わるので、規定よりも強い張力で引いていることになります。
で、その止まった状態をしばらくキープさせてストレッチさせておきたいので、その間に次の穴にガットを通す。
という感じです。
「適度な強さ」っていうのが割と難しいと思いますが、弱すぎるとプレストレッチにならないし、強すぎるとラケットに負担がかかりすぎます。
一度その加減をミスり、あまりにも強く引きすぎてガットがいきなり「ブチッ」っと切れたことがありますが(ラケットの方が折れなくてよかった・汗)、
いちおう、強いテンションで張ろうとする分それなりにリスクのある方法なので自己責任で実施してくださいね。
ちなみに、スプリング式マシンでハンドルを回して「ガコン」と固定された場合、「ガコン」の瞬間は規定ポンドですが、その瞬間からガットの伸びは進行して、張力はどんどん弱くなっていくので、
必ず規定よりは強い力で引っ張っておかないと、プレストレッチ効果があまり得られません。
どうしてもホームストリングで強く張れずに諦めている方は、試す価値あり!!
ということで紹介いたしました。
テンションロスを押さえる他の方法は?
ちなみに、(ネット上とかでも)一般的によく言われるようなテンションロスを抑える方法もいろいろあると思いますが、
一通り試してみた結果をここに記載しておきます。
・2本張りより1本張りの方が
→張上げ後の経過も含め、実際ほとんど変わりません。
・何番目のガットを何%強く張る
→変わらないことは無いですが規定値を変えることによる誤差の範囲かと。
・ガットは最初に全部通して、なるべく手早く一気に張り上げる
→ほぼ効果なし。
・ガットは必ず3回以上引っ張る
(これは一種のプレストレッチですね。)
→やや改善しますが、やるならしっかりプレストレッチした方が効果大です。
・必ず毎回目打ちをする
→ほぼ効果なし。
・フライングクランプを2つ使って止める
→ほぼ効果なし。
という個人的な実験結果になってます。
“ほぼ効果なし”というのは、「言われてみれば改善しているような気がするけど、、う〜ん」という印象を得たもので、
もしかすると、それらも全部組み合わせれば0.5〜1ポンドくらいの改善は得られるかもしれないですが、それについてはまだ試していないので何とも言えません。
(ほんとに感覚的な話しですが、2本張りよりは1本張りの方が張り上がりは0.2ポンドくらい高い気がします。)
ですが、プレストレッチ対策は単独の対策で3〜4ポンドは確実に改善するので、まずやるべきだとすれば断然プレストレッチ対策です。
これはガットの性質上絶対に発生するもので、それを極力抑える対策なので、確実にやれば絶対に効果があります。
たぶん、電動マシンと手動マシンで張り上がりポンド数が大きく異なる原因というのも、この「引っ張り方」による違い、ほとんどがここにあるんじゃないかと思ってます。
(詳しいことは分かりませんが。)
実際、電動マシンの店でも店によっては手動マシンとあまり変わらないポンド数で張り上がってきますしw
細いガットをプレストレッチする場合は要注意!
あと、細いガットをプレストレッチして強く張ると「下手切れ(端切れ)」しやすくなるのでご注意下さい。
これもゴムと同じで、ガットを限りなく伸ばしきっている分、耐久性が弱くなって切れやすくなります。
これもあくまで個人的な実験結果になりますが、
・YONEXのBG66ULTIMAX(0.65mm)
・GOSENのG-TONE5(0.65mm)
どちらも同じゲージの人気ガットですが、YONEXのほうは強く張るとマジで下手切れしやすいです。
特に、スマッシュレシーブとかドライブとか、コルクが真っすぐ当たるショットでスイートスポットを外すと張りたてでも一発でブチン!と切れます。
僕は過去に、専門店基準の27ポンドで張ったばかりのガットが、立て続けに3本も切れたことがあって、マジでショックだったんですけど、
(特に冬場は切れやすい)
今は同じゲージのGOSENのほうに切り替えていて、そっちでは同じ強さのポンド数でもまだ下手切れは一回も発生したことがないので、
同じゲージならGOSENのG-TONE5がおすすめです。
(でも打感はYONEXの方が好きなんだよな〜。。)
ではでは、以上になります。
関連ページ=>「ガットの適正テンションは何ポンド?」
関連ページ=>「ガットの選び方」