バドミントン ダブルス 前衛
どうも、熱血バドミントンプレイヤー 兼 某高校のバド部コーチのJUNです。
バドミントンでダブルスをすると、
「前衛」
これが苦手な人が一定の割合でいらっしゃいます。
後衛の仕事は、とにかくスマッシュで攻めたり、ドロップやクリアで緩急をつけて相手の守備を崩すことなので、やること自体はそこまで難しくはないのですが、
意外と「前衛」って“何すればいいの?”という人が少なくないんですよね(^^;
もちろん、前衛の基本は、
・甘く上がってきた球をプッシュする
誰もが知っているかと思いますが、これです。
でも、レベルが上がれば上がるほど、
「甘く上がる」
球なんてそんなに滅多にあるもんじゃないですよね?
レベルが上がれば、相手のレシーブ力も上がってくるので、そんなに簡単に甘い球は上がってきません。
なので、そのくらいのレベルになってくると、「前衛の苦手な人」っていうのがかなり浮き彫りになってきます。
実は僕も、前衛が超苦手な時期っていうのを経験した一人なのでその気持ちがよくわかります(^^;
でも、あるコツを実践し始めたことで、今ではむしろ前衛の方が得意なくらいになっているので、この記事ではその“コツ”をお伝えしたいと思います。
前衛のコツは仕事を選ぶこと
前衛が苦手な方はまず、自分の仕事を減らすことを考えてみてください。
仕事を“減らす”んです。
前衛が苦手な人のほとんどって、全てのリターンに対して意識が向いていて結局どれも触れない、っていうパターンになっています。
なのでもう、
・どういうリターンが返ってきたときに仕事をするのか?
を自分の中で決めちゃうんです。
ショートリターンや甘い返球に対して反応をするっていうのは基本になりますが、
ダブルスの場合は特に、後衛がストレートで打ったスマッシュをクロス方向に、それも軌道の低いドライブ気味に返球されるリターンって決定打になりやすいです。
こういう場面、よく見かけると思います。
後衛ストレートスマッシュ → クロスにドライブリターン(カウンター) → そのまま決まっちゃう。
というやつ。
クロス方向のリターンでも、高さがあれば時間ができるので後衛も余裕を持って追いつけますが、低い軌道だと後衛はかなり苦しくなるわけです。
当たり前ですが、スマッシュはスピードが速いぶん返球も速くなりますから、上記のようなクロスのドライブリターンは、よほど後衛の人のレベルが高くない限り、なかなか返せません。
なので、そういうのを前衛の人がしっかりとタイミングを合わせて「止める」必要があるわけで、その仕事ができるだけで後衛からするとかなり助かるんですよね。
できればさらに、そういう低い軌道のシャトルを触れるときは、当てるだけでネット前に落としたり、スピードを落とさずにプッシュ気味のドライブなどで攻め続けたり、
なんていう緩急も付けられるようになると、さらに前衛としてレベルアップできます。
とこんな感じで、
・クロス方向の速いリターンに対して仕事をする
みたいに自分の仕事をしぼっちゃう。
ここを意識するだけでもかなり変わります。
(ストレート方向は最悪、抜かれても後衛がいますから)
前衛のポジションは?
では次に、前衛はどのようなポジションにいればいいかを考えてみましょう。
前衛が苦手な人の多くは、「決めよう、決めよう」とする意識が強いせいか、ポジションが
“前過ぎる”
ことが少なくないです。
例えば、サーブを打つポジションとほとんど同じところとかとか。
さっきもお伝えしましたけど、基本的にネット前にふんわりと甘い球が上がってくることなんて、そこそこレベルが上がってくればほとんどありません。
にもかかわらず、そういう返球にしか対応できないようなポジションで構えていると前衛は仕事ができません。
特に、相手は守りから「攻め」に転じるために、軌道の低いドライブ気味のリターンを狙っています。
そういう速い返球に対してネットに近すぎると、なかなか反応できません。
ですので前衛にいるときは、自分の前に「スペース」を作るようなイメージを持ちながら、場合にもよりますがサービスラインよりもラケット1本前後くらいは後ろで構えて、
速い返球に対しても距離と時間を稼ぎつつ、かつ、自分の体より“前で”触れるようなポジションにいると、前衛の仕事がやり易くなると思います。
↓以下は女子ダブルスの全日本総体戦ですが、前衛のポジションに注目しながら見てください
どうでしょう?
「えっ、前衛ってそんなところにいるの?」
というところにいたりしますよね?
例えば、上記の動画の15:17あたりから、手前選手が大きくロブを上げました。
この時の奥の前衛選手(松友選手)のポジションに注目してください。
コートを左右半面に区切ると、後衛の人の半面側に完全に入ってますし、ネットからのスペースもしっかりとっています。
これが、前衛の基本ポジションです。
前にスペースを作ることで、前衛の選手はリターンに対して“自分の体より前で”シャトルを触ることができるので、コントロールしやすい触り方ができるようになりますし、
ストレート側に寄ることで、相手は簡単には(一番返球しやすい)ストレートに返しづらくなります。
ぶっちゃけ、相手のリターンがそこまで速くなければ、このポジション取りしっかりやるだけで、いろんな球に触れますし、「前衛出来る人」になりますよ(笑)
それから、よく前衛が苦手な人で、
「後衛がクリアを上げたときに素早く下がれません」
的な相談をいただくこともあるんですけど、これも前衛のポジションが良くないからです。
基本的に攻撃から守備へスイッチするときには、前衛は“下がる”んじゃなくて、横に“開く”んです。
攻撃の時にポジションが前過ぎるから下がらなきゃいけなくなるわけで、攻撃の時にしっかりと前にスペースを作っていれば、横に移動するだけでサイドバイサイドの形になるはずなので、
もし攻撃から守備へスイッチするときに下がらなきゃいけなくなっているのなら、攻撃(トップ&バック)の時にポジションが前過ぎることを疑ってください。
ではでは、細かいことは抜きにして前衛のコツをざっくりとまず2つだけ、
・仕事を絞る(まずはクロスドライブだけ触る、とかでもOK)
・ポジション(前にスペースを作る)
を紹介いたしました。
まずは上記の2つを意識して練習するだけでも、かなり前衛がやりやすくなると思うので試してみてくださいませ。
で、次からはさらに前衛力を上げる、中級以上編になります。
相手の返球を事前にヤマを「張る」
ここからは、さらなるレベルアップです。
相手のリターンがそこまで速くなければ、前ページのポジション取りしっかりやるだけで、いろんな球に触れますし、「前衛出来る人」になります(笑)
が、、、レベルが上がってきてこちらのスマッシュも、相手のリターンも速くなってくると、“あること”を意識しないとポジション取りだけでは前衛は全く仕事をできなくなってしまいます。
その“あること”というのは、スマッシュのリターン(レシーブ)の、
“返球コースを張る”
ということです。
つまり、相手レシーブが、ストレートに来るのかクロスに来るのかを、相手が打ってから判断するのではなく、打つ前にはもう決めて(ヤマを張って)、ストレートかクロスかどちらかに動いて準備をしておく。
打ってから、ではなく、相手がレシーブを打つときにはもう(ストレートかクロス)に動いておくという意識。
ストレートって決めたら、もう相手が打つ瞬間には自分はもうストレート側にいる。
(クロスに決めたらクロスにポジションをとっている。)
こういう“ヤマ張り”が重要になります。
なぜなら、シャトルのスピードが速くなっていくと、もう人間の限界を超えるんですよね(笑)
1)シャトルを目で捉えて、2)脳が動けと指令を出して、3)実際に動き出して、4)シャトルに追いつく
という人間の普通の行動プロセスだと、追いつけない。
だから、それまで自分は前衛が「出来る人」だと思っていたのに、レベルが上がってくると、「あれれ?おかしい、全然シャトルに触れなくなったぞ」っていうステージに到達します。
それはもう、レシーバーと前衛との間で、人が普通に反応できるスピードを超えるラリーになっているということです。
だからこそ、シャトルを目で捉えて、脳で動けと判断するプロセスを省略して、ヤマ張って動いておく。
そうすれば、少なくとも「全く触れない」ってことは無くなるし、当たればチャンスに繋がります。
ヤマは外れても大丈夫!?
で、ヤマ張りの良いところって、
“たとえ外れたとしても、後衛がカバーしてくれやすい”
というところも重要なポイントです。
前衛が早く動いていてくれているから、後衛からすれば「じゃあそっちは君に任せたから、自分は逆をカバーするね」っていうことが素早く判断して動き出せます。
これ、重要。
前衛の判断(動き出し)が遅くなると、そのぶん後衛の動き出しも遅くなります。
ヤマが外れたときのカバーも遅れがちになるし、もし前衛の動き出しが遅くてシャトルに届かずに抜けてしまったりすると、後衛にとっては、
「マジかよ、すげー邪魔」
ってなります(笑)
例えば、ストレートのドライブリターンが前衛を抜けてきて後衛が取らなくちゃいけなくなりました、っていう場合を考えると、
前衛がヤマを外して抜けてきたのなら、前衛はクロス側にいるはずです。
つまりストレート側から前衛はいなくなるので、後衛はリターンのシャトルに対して前に入りながら高い打点で捉えてネットに落としたり、前に走ってドライブで連続攻撃に繋げる、ということもやり易いですが、
そこに前衛がいると、後衛が前に入れないので邪魔になります。
前に入り込めないので、打点が低くなり、ロブを上げるしかなくなって攻撃の主導権を相手に渡してしまう、ということになってしまいがちです。
ストレートに飛びついたのが遅くて抜けてきた、なんていうとさらに最悪です。「邪魔」の一言。
だから、ダブルスでは前衛がどういう動きをするのかってめっちゃ重要なんですよね。
ヤマを張れずに、何も触れずそのポジションに留まってるのも邪魔だし、動き出しが遅くなって抜けてくるともっと邪魔。
“ハッキリ決めて、決めたならもう思い切って行っちゃう”
これが前衛をやるうえでのポイントで、そうやってハッキリ明確に動いていれば、たとえ外れたとしても後衛が速く判断できることに繋がるので、カバーしやすいです。
前衛上手は「捨て上手」
一番ダメなのは、どれも触ろうとして、判断できずに迷って、その場に留まったり、
判断が遅くて飛びついたのに抜けちゃうことです。
おおむね、中級レベル以上の段階で、このような「前衛の動き」ができないと、ほぼほぼ通用しなくなってくるので、
自分やパートナー、対戦相手のレベルが上がってきたときには、前衛のやり方としてこういう部分を意識してみましょう。
実際、僕なんかは調子悪いとき、もう半分くらい自棄(やけ)になったくらいの気持ちで、ストレート飛びついたりクロス飛びついたりすることがあるんですが、
その方が、かえって上手くいったりするんですよね(笑)
ある日、僕とパートナーがどっちも調子がのらなくて、もうダメダメの時があって、その時パートナーが、
「もうオレ、全部ストレート張るから!」
と言って、とことんストレートを張りだして、僕も、
「俺ももう勝手に(ストレートかクロスかという意味で)動いてあと全部捨てるんで、抜けたら全部お願いします!」
と決めてやったら急にやり易くなって、前衛バンバン決まって、一気に逆転して勝っちゃった。ってこともありました(汗)
マジで前衛って大事なんだなと思った瞬間です。。。
とまあ、ダブルスにおいて前衛の仕事っていうのは言うまでもなくめっちゃ重要なんですが、
レベルが上がってスマッシュもレシーブも速くなってくると、さらに重要になります。
“ヤマ張って取りあえずいっちゃえ”
(外れたらカバーお願い!)
という気持ちで、割り切ってプレーするのがたぶん最初の段階では大事になります。
部活なんかで生徒を見ていると、やっぱバドミントン部は真面目な子が多いんで(笑)
“捨てる”っていうことに責任を感じてなかなか球を捨てられないんですよね。
来る打球全部「取らなきゃ!」って考えちゃうんだけど、それはシングルです。
ダブルス上手い人は“捨て上手”です。
どれもこれも全部自分で打とうとするのは、ダブルスではどちらかというと自分が後衛に回ってラリーをしているときの意識です。
前衛と違って後衛は、“前衛が捨てたコース”をカバーするような役回りになるので、この意識の転換もダブルスでは大事ですね。
「捨てる前衛、カバーする後衛」
です。
ということで、前衛についてはこのページでかなりの情報量を書いてしまった気がしますが、ぜひぜひ実践してくださいね!
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